歯科医院の清掃で手間のかかる上位に必ず入るのが
シンクの水垢落としです。
消毒室や技工室のシンクの白い汚れがずっと気になってはいるけど、
どうすれば取れるのかわからないし
清掃を試す時間もないし
ずっとその状態だからそれでもいい気もするし・・・
と言う感じになっている場合も少なくありません。
一日中水を使って業務を行う歯科医院では水垢問題はクレンリネスの最初の壁です。
今回は軽度の水垢汚れをカンタンに落とし、そのあとに軽く磨く事で見違えるようにキレイになる方法をお伝えします。
まずは下準備をしよう
白くなっている原因は水垢だけではありません。
水垢以外の汚れでよくあるものに、ハンドソープによるものがあります。
ハンドソープには皮膚をいたわるためにグリセリンが含まれている事が多いのですが、そのグリセリンがステンレス表面に厚くついている事が少なくありません。
そのシンクで皆さんがハンドソープを使って手を洗っておられる場合は注意してみて下さい。
グリセリンは、皮膚を守るために配合されています。
界面活性剤などの洗浄成分で皮脂が取れ過ぎて肌が荒れるなどを防ぐためです。
ですので、グリセリンは皮膚表面と同じ〝弱酸性〟なのです。
このあと、水垢を分解除去するために弱酸性の物質であるクエン酸を使います。
グリセリンが表面に膜を作っていますとクエン酸のじゃまをしてしまいます。
弱酸性のグリセリンに弱酸性のクエン酸を塗布しても何も起こらないですからね。
グリセリンを除去しておく
医院にある食器用洗剤と普通のスポンジでシンクをていねいにこすり洗いします。
スポンジは研磨粒子を含まないタイプを選んでください。
研磨粒子が付いているものを使うと間違いなくステンレスに目に見える傷が入ります。
研磨粒子のないスポンジの例
スコッチ・ブライト™ 抗菌ウレタンスポンジたわしリーフ型
研磨粒子が付いていないスポンジたわしはこのほかにもいろいろあります。
「傷をつけない」などと表示している物が多いです。
反対に「ガンコな汚れを落とす」や「コゲを落とす」のような事が書かれているものは研磨粒子が付いている物が多いです。
表面のコピーだけで判断するのは危険ですので、裏面の素材表示に「特殊研磨粒子」などが書いてあるかどうかを確認してくださいね。
結果がわかりやすいように半分だけ洗っています。
左半分が食器用洗剤とスポンジでこすり洗いした面です。
白く堆積したグリセリンなどが取れ、水垢だけの状態になりました。
クエン酸を使おう
水垢は水道水に含まれる炭酸カルシウムが堆積したものです。
これはアルカリ性の物質です。
そのため、これを除去するためには酸性の物で攻撃するという事です。
30秒程度振るとクエン酸が水に溶けます。
そのクエン酸水をスポンジでステンレス表面に塗って30分間おきました。
乾いたり流れてしまったりしないよう、食品用ラップを貼り付けました。
水道の蛇口周りには、ペーパータオルにクエン酸水をしみ込ませたものをピッタリ貼り付けました。
さて30分後、ラップとペーパータオルを取り、洗っていきます。
水垢はクエン酸湿布でほとんど取れていますが念のためていねいにやさしく洗います。
クエン酸使用後の処理
金属にクエン酸を使った場合、最後に必ず行ってほしい事があります。
クエン酸は安全でやさしい酸性物質ですが、酸性は酸性。
すきまなどに残っているとサビの原因になります。
それを防ぐには、しっかり洗い流す事です。
水で洗うだけでは酸性成分が残ってしまう可能性がありますので、中和の意味で洗剤を使って洗います。
とはいっても、特別な物は使いません。
使うのは最初に出てきた食器用洗剤です。
すきまを意識してていねいに洗います。
そのあと全体を水で流します。
汚れがないだけではなくピカピカにしよう
はい。
汚れが落ちてキレイになったシンクは気持ちがいいですね。
しかし、歯科医院のシンクは、薬液などの影響でシミのようになっている場合も少なくありません。
汚れがないだけではなく、ドライ・シャイン・オーダリー注)のシャインを追求してみるのもやりがいがあります。
注)「ドライ・シャイン・オーダリー」=クレンリネスを構成する3要素・・・ドライ(Dry) 乾燥させる、シャイン(Shine) もともとツヤがある物はツヤを出す、オーダリー(Orderly) 整理整頓
クレンリネスでシャインと言えば・・・・
ハイ、こちらですね。
このピカールを使うとステンレス表面がなめらかになり、ツルツルピカピカにする事ができます。
私はいつもこれくらい使います。
具体的な使い方はコチラに詳しく書いていますので参考にして下さい。
※写真を取り忘れましたので過去のアメブロ記事をシェアします(^^;
消毒室シンクの清掃完了です!!
大切な事は、
ここから〝クレンリネス(予防清掃)〟にして行く。
です。
これまで歯科医院の院内の多くの箇所が汚れ、清掃が大変だったのは、毎回〝清掃〟で終わってしまうからでした。
汚れの正体がわかり、退治の仕方がわかれば、予防はできますね。
一旦落とした汚れは、もうそこの〝清掃〟をしないよう、日常業務の中に予防清掃として採り入れて下さい。
それができると、時短や省力化をしながら
「いつもキレイな歯科医院」
になって行けます。