歯科医院のカーペットをキレイにキープするにはどうすれば?

カーペットのクレンリネス クレンリネスの考え方

歯科医院のフロアーにカーペットを使われているところがあります。

 

そのほとんどが掃除機を毎日かけておられるのですが、「効果的な日々の清潔化の方法がわからない。」と言われます。

そこで今回はカーペットのクレンリネスについて書きます。

 

 

カーペットフロアの利点

 

「設計の時にあとの事をあまり考えずに、雰囲気をよくしたくてカーペットにしました。
維持が大変で、〝失敗だったなぁ〟と思っています。」

と、お聞きする事があります。

 

確かに、キレイに維持しようとするとかなりの手間がかかると思います。

しかし、モノには悪い点の反面必ずいい面もあります。

カーペットのいい面とは・・・?

 

  • 見た目がやさしい
  • モノを落とした時の音がほとんどない
  • 落としたものが破損する確率が低い
  • 歩行による足の疲れが少ない

 

ありますよね( ̄ー ̄)b

 

カーペットフロアの難点

 

よくお聞きする、〝やめといたらよかったなぁ(T_T)〟という点は、

  • 汚れを除去しにくい
  • 歩行によってつぶれて行く

汚れを除去しにくいというのは、粉塵、液体の除去が難しいという事です。

でも、難しいと思われているのは、まだ方法を知らない、というだけで、
ムリということではないですよ^^。

 

 

カーペットのへの汚れの付きかたを知りましょう

 

カーペットのつくり

 

カーペットの中でも多く使われているループカーペットのつくりは、とても大ざっぱに言うと、糸を丸めて土台に植え付けてあるカタチです。

カーペットのクレンリネス

 

これはループカーペットですが、歯科医院で使われているカーペットはほとんどこれです。

そしてこのカーペットは断面で見るとこんな構造になっています。

タイルカーペットの構造

息子の COPIC ciaoを勝手に使って描きました^^。

 

 

パイルとは、カーペットの繊維のたばの事です。
ループパイルやカットパイルなどがあります。

東リ オンライン「カットパイルとループパイルの違いは?」

カットパイルとループパイルの違いは? | カーペット・ラグ&マットFAQ | 東リ 住まいとインテリア
東リの取り扱うカーペット・ラグ&マットの選び方、施工方法、メンテナンス方法などのご質問と回答をご紹介しています。

 

 

カーペットの汚れは2パターン

 

カーペットの汚れには2つのものがあります

 

ドライソイル・・・土砂、ホコリ、ゴミなどの乾いた汚れ

ウェットソイル・・・水溶性の汚れ(飲み物など、水に溶ける汚れ。)
※油溶性の汚れ(主に皮脂やオイルなどの水に溶けない汚れ)を含む。

 

カーペットの汚れの比率

 

ですので、カーペットの汚れの8割は掃除機で除去できる、という事になります( ̄ー ̄)b

 

 

カーペットの日常のクレンリネスに家庭用掃除機はどれくらい効果的?

 

「カーペットの表面、目線から見える汚れは全体の汚れのたった10%」です。

 

60%がパイルの中間層にあり、

 

30%はパイルの底部にあります。

 

 

タイルカーペットの汚れ

これを踏まえると、適切な汚れの取り方がわかります。

 

正しい方法でメンテナンスすれば80%(10+60+10)程度はきれいにできます。

 

 

 

効果的なカーペットクレンリネス

 

それは、

 

 

 

今、使っている掃除機を、カーペット専用の掃除機に替える事が一番効果的な方法です。

 

 

 

えぇぇぇぇ~!?

と思われたかも知れません。

替える替えないは別として、まずその理由をお伝えします。

 

 

カーペットの乾いた汚れ(土砂・ホコリなど)は、家庭用の掃除機では、
目に見えている分しか除去できません。
それは汚れ全体のほぼ10%程度です。

 

 

後の90%はパイルの底へと沈んで行き、さらに上から新しい汚れが堆積して来ます。

 

堆積した粉じんと一緒にカーペットを踏み続ける事で、カーペットの繊維に無数の傷が入ります。

そしてその傷に、さらにドライソイル(乾いた汚れ)と空気中の水蒸気(湿気)や人の体から落ちる皮脂、ウェットソイルが入り込み時間の経過とともに硬化し、そして

「取れない汚れ」

になります。
そうなると、見た目はかなり悪い状態になります。

 

もし、見た目がきれいに見えているとしても、

キレイに見えるのは表面だけで、実はパイルの中は汚れが堆積しています。

 

ドライソイルを家庭用の掃除機で吸い上げられないのは、カーペットの繊維に汚れが絡み付いているからと、パイルの深い所まで汚れを吸い上げる能力が掃除機にない事が原因です。

 

医院は家庭ではなく業務の場ですので、家庭とは比較にならないほど多くの人が歩行します。
カーペットを良い状態にキープするためには業務用掃除機を使う事が自然な考え方だと思います。

 

ただ、カーペットの面積が小さいなどで、なんとか業務用掃除機を購入せずに、これからも家庭用の掃除機でクレンリネスを行なって行かれる場合、かけ方を工夫して行かれることをオススメします。

 

家庭用掃除機でのクレンリネス

 

できるだけ乾燥汚れを取る掃除機がけ

 

掃除機がけに工夫をします。
というか、これが本当は適切なかけ方なんです。

シンプルです。

 

1、ゆっくりかける。

吸うより速く通り過ぎるようなかけ方では、パイルの下の方に沈んだモノ(靴に付いて来たモノ)を吸い上げる事ができません。
10㎝に1秒くらいの気持ちでかけて下さいね。

 

2、人の導線上をしっかりかける。

入り口から受け付けまでや、トイレまでの導線上。

3、倒れたパイルの逆方向から押さえ気味にかける。

4、掃除機のノズルでパイルを起こすようなかけ方をする。
倒れてつぶれたパイルの上を滑らせるかけ方では、パイルの中のドライソイルは吸い上げられませんので、倒れた逆方向から押して起こすようなかけ方ができるなら相当なドライソイルを吸引できます。
ただし、このような掃除機がけをせずに長期間経ってしまったカーペットはパイルが完全につぶれて、さらにドライソイルがパイルの中で硬化していますので家庭用掃除機では対処できません。

 

掃除機がけのあと、拭き掃除をする

面積の小さなカーペットや、キッズコーナーだけでしたら、

拭きそうじをおススメします。

 

少し熱めのお湯をバケツに2杯用意します。

その中でタオルを濡らして硬く絞りカーペットをていねいに拭く。

拭いたタオルはもうひとつのきれいなお湯のバケツですすぎ洗いして絞ります。
タオルをすすいで絞ると毎回結構な汚れが出ます。

そしてきれいなお湯のバケツでタオルを濡らして絞り、またカーペットをふいて行きます。
洗剤を使うとふき取りがけっこう大変ですのでこの方法を定期的にされるとよいです。

キッズコーナーは最低月に1回、できれば2週間に1回はこの作業を行って下さい。

カーペットクリーニング現場からお伝えします!!

 

カーペットのクリーニングを外部に依頼するとどんな作業をするのでしょうか。
私共の例をご覧下さい。

 

歯科医院の待合室で業務用カーペット専用バキュームで回収できるドライソイル

 

実際業務用バキュームでどれくらいのドライソイル(乾燥した粉じん)が、歯科医院の待合室カーペットから回収できるのでしょうか。

 

デンタルクレンリネスプロジェクトで使用するカーペットバキュームは世界中で使われている、100年以上の歴史の世界最強kirbyです。

kirby

 

kirby

もう10年以上使っています。

 

カーペット専用クリーナーが普通の掃除機と違うところは、その吸引力です。

モーターが吸引口のすぐ近くにあり、一般的な掃除機のようにホースやパイプの長さでの吸引力の低下がありません。
こういう形状の物をアップライト型といい、カーペット専用バキューム特有の形です。

カービー説明

専用モーターで回すらせんブラシでカーペットを刺激し、パイルの奥に入り込んだドライソイルを吸引します。

カービーはカーペット専用機の中でも圧倒的な吸引力です。

 

 

 

ドライソイルの回収量を見てみる

 

新しいダストパックをつけてカービーで1時間、ていねいにバキューミングをし、ダストパックを取り出し、もったいないですが切り開いてドライソイルの回収量を見てみました。

カービーダストパック

 

1時間のバキューミング後、ダストパックを切り開きます・・・・

ダストパック

これだけの乾燥汚れ=ドライソイルが待合室カーペットにひそんでいました( ̄^ ̄)ゞ

普段は家庭用の掃除機をかけられていますがカーペット専用バキュームで作業をするとこれだけのドライソイルが。
家庭用掃除機ではこれを回収できないのです。

 

カーペットの待合室

待合室がこの広さだと、バキューミングは最低1時間かけます。
いくら吸引力が強くても、1回ですべてのドライソイルがパイルの上まで吸い上げられる事はないからです。
1回目より2回目、それよりも3回目で徐々にドライソイルを吸い上げて行きますのでその程度の時間はかかります。

 

カーペット専用前処理剤

カーペットの繊維に細かく絡んでいるよごれを前処理剤で分解します。

カーペットの前処理剤
写真があちこちの医院さんに飛んでスミマセン。
その日、三脚をもってきていないとか、そんなことやってる時間がなかったとか、いろいろ事情があり、1カ所で全部の写真を撮れないことが多く・・・。

 

ブラッシングで汚れを洗剤の中に分散させる

 

しっかり分解された汚れ(粉じん、皮脂など)をブラッシングし、クリーナーの中に分散させます。

 

汚れとクリーナーを回収する

 

次にカーペットリンサー(水を出しながら強力にカーペットの汚れを吸引する)で回収に入ります。

撮影のため片手で動かしていますので弱々しいです(^^;)

 

カーペットジェット 36

アメリカ製のカーペットリンサーはモーターが2個ついている超強力マシンです。
吸引力が強く、パイルの奥の汚れまで回収し、水分の回収力も強いのでカーペットの乾燥が早い!

 

 

カーペットから回収された汚れ

回収されたカーペットの汚れ

回収されたカーペットの汚れ

これは1回目で回収した汚れ。
回収した水が透明に近くなるまでこの作業を繰り返します。
この時は4回でした。

 

最後に送風機で乾燥を早めます

 

乾燥

すすぎが完了したら、カーペットの乾燥です。
送風機で風を送りカーペットの乾燥を早めます。
リンサーが強力ですのでエアコンをかけていれば2時間程度で乾きます。

 

 

カーペットのクレンリネスまとめ

 

まとめます( ̄^ ̄)ゞ

 


カーペットの汚れには2つのものがある。
■ドライソイル・・・土砂、ホコリ、ゴミなどの乾いた汚れ
■ウェットソイル・・・水溶性の汚れ(飲み物など、水に溶ける汚れ。)


「カーペットの表面、目線から見える汚れは全体の汚れのたった10%」です。
60%がパイルの中間層にあり、30%はパイルの底部にあります。
家庭用の掃除機を軽くかけただけでは、汚れの10%しか取れていないという事。


カーペットの日々のクレンリネスで大切なことは、表面のゴミや毛髪だけ除去するのではなく、可能な限り乾燥汚れ(ドライソイル)を回収する事です。
それには、カーペット専用掃除機を使う事が最も効果的。
歯科医院は家庭とは違い日々多くの人が歩行します。
業務用の掃除機を使う事が本来は必要です。


家庭用掃除機でクレンリネスを行なう場合。
1、ゆっくりかける・・・1秒10cm
2、歩行動線上をよりていねいにかける
3、パイルの傾きを起こすようにかける


キレイをキープするためには掃除機だけではなく拭き清掃も行う方がよい。


日々のクレンリネスを正しく行い、その上でプロのカーペットクリーニングを行う。
パイルの中に沈んだ粉じん類、表面についた水性油性の汚れは残念ながらプロの作業なしではクリアできません。
パイルの中に汚れを残さない事でキレイなカーペットを維持でき、ドライソイルによるカーペット繊維が傷むことも軽減できて寿命が長くなります。

 


外部に依頼する時は、洗浄の前に必ず専用掃除機を使ってドライソイルの除去を行う、また、リンサーでの汚れ回収をしっかり実施するプロに依頼する。