歯科医院の診療室フロアーをきれいに維持するには

フロアーのクレンリネス フロアー
清掃完了後のキレイキープの方法です

院内を清潔感あふれるキレイな状態に保ちたい。

時間をかけずにキレイにしたい。

クレンリネスの考え方で汚れを予防したい。

 

それには、業務の流れの中にうまくクレンリネスの動きを入れていく事が秘訣です。

必要なのは〝考え方〟〝しくみ〟〝ノウハウ〟

それを一つ一つ練り上げて行けばラクに、当たり前に、きれいな状態を維持できるようになります。

 

今回は、フロアーのクレンリネスについてお伝えします。

 

基本的に、医療施設は

他の場所と比較してランクの違うきれいさが必要です。

 

現場の皆さんが気持ちよく、自信をもって業務に集中するためにもそれは基本です。

感染対策については、適切な方法のガイドラインがありますが、清掃やクレンリネスでは迷う事ばかりですね。

 

この後の説明をぜひ参考にして下さい。

 

 

歯科医院のフロアーはワックスがもたない!?

 

それは私が歯科専門になる以前から感じていたことでした。

 

その原因をハッキリさせ、対処することでどれくらい美しく清潔感を維持することができるかのチャレンジです。

 

そしてその原因とは

図1

 

歯科診療室にはワックスより硬い物が目に見えない粉塵として床に落ちています。

それを歩行によってこすりつけますのでワックスの表面には粉塵と同じ大きさの非常に細かな傷がつきます。

 

無数の傷がつくことで表面が平らでなくなりツヤがなくなってしまうわけです。

 

であれば、その原因となる粉塵を除去すればいいと言うことです。

 

 

フロアーの日々のクレンリネス

 

フロアーのクレンリネス2

図2

日常のクレンリネスとしてはこのような事を行います。

白い数字は作業の割合いです。

 

除塵(じょじん=粉じんを除去する事)が最も大切です。

頻度としては、

可能であれば患者さん交代ごと。

そこまでできない状況であればできるだけ早く実行するとして医院様ごとの状況で可能なタイミングで行ってください。

粉塵除去のためには乾拭きが有効です。

マイクロファイバーモップなら微細な粉じんもキャッチできます。

 

 

レンタルモップは使った方がいいの?

 

これに関してはDCPではNGとの考えです。
その理由は以下の通りです。

 

よく『院内クレンリネス講座』でスタッフの皆さんにお聞きします。

「朝、歯を磨いた歯ブラシを、洗わずに歯ブラシ立てに戻して、そのまま2週間使えますか?」

すると、間違いなく

「絶対にイヤです!!(T_T)」

と言われます(笑)

しかし、レンタルモップはそれと同じことをしているのです。

そこをハッキリと意識して頂き、判断はおまかせしています。

 

掃除機とモップはどちらがいいですか?

 

と言うご質問を頂く事があります。

 

アンサーは

掃除機とモップでは目的が違います。

モップは粉塵除去。

掃除機は隅や隙間のごみ、髪の毛、歯科材料などを回収する。

図1の写真は掃除機がけを丁寧にした後マイクロファイバーモップで回収された粉塵です。

掃除機をていねいにかけても粉塵はこれだけ残るのです。

歯科フロアーの粉じんは、掃除機では回収しきれないのです。

 

マイクロファイバーモップの乾式清掃で粉塵を回収。

掃除機はノズルを外してパイプだけにし、隅や隙間のほこりや髪の毛、材料などの回収に使用する、という方法をおすすめしています。

 

次に、水拭きについてです。

 

水拭きの頻度はどれくらいでしょうか

 

と言う事なのですが1日1回すれば十分。

図2にもありますが

清掃の基本として、

乾燥した汚れは乾燥したもので(乾式清掃)

水分が原因の汚れは濡れたもので(湿式清掃)

と言うセオリー(物事におけるもっとも良いとされる方法や手順)があります。

ですので、水拭きが必要なのは消毒室、パウダールーム、トイレくらいでしょうか。

ユニット回りにはミストが落ちると思いますが床に達してすぐに乾燥、または床に到達する前に蒸発していると思いますので、ウェット汚れとは考えにくいですが、粉塵+ミスト+落下した材料+スツールのキャスターの摩擦、を考え合わせると、水拭きエリアにするのが適切です。

 

フロアーのクレンリネスにクリーナーは必要か

 

『洗剤を使えば床はもっときれいになると思って使ってます(^O^)/』

と言われる事が、『院内クレンリネス講座』前の医院様ではあります。

そしてもれなくこう言われます。

『清掃業者さんに月1回ワックスをしてもらっているんですがすぐに取れてしまうんです(涙)』

それはこういう事です

図3

図4

 

フロアーのワックスは主成分(アクリル樹脂やウレタン樹脂)や助剤を水に分散させて保管しています。

ワックス全体の70%程度は水なんです。

ですのでワックスの正式名は〝水性樹脂仕上げ材〟と言います。

 

そしてその樹脂は、メンテナンス性を確保するため
※表面についた汚れをメンテナンスで除去しやすくするため

〝アルカリ可溶性樹脂〟
  注)アルカリに溶解する性質を持つ樹脂。

などと言うものが使われています。

そしてそして、

『洗剤を使って拭いているんです』

〝洗剤〟は弱アルカリ性洗浄剤であることが多いですよね。

これでお分かりかと思いますが、毎日ワックスを溶かして拭いているのです。

 

図3にありますように、

歯科診療室のフロアーには、除去するために洗剤が必要なものはほぼありません。

ですので、フロアーのクレンリネスに洗剤は基本的には使わなくていいのです。

 

次行きます。

 

フロアーは消毒した方がいいの?

 

という疑問。

これは、感染対策を学ぶ中で出てくるスポルディングの分類表を知っていればわかる事かと思います。

図5

フロアーについては赤丸で囲んでいます。
処理分類としては「定期清掃」「汚染時清掃」となっています。
定期清掃とはタイミングを決めてフロアーの清掃(除塵・水拭き)をする事です。

 

CDCガイド欄でも床に関しては血液汚染があった時に適切な方法で消毒をするだけでオーケーとなっています。
赤い文字に変えた部分です。

図6

フロアーを消毒する必然性はないとCDCガイドラインで示されてはいます。
ただ、してはいけないとも書かれていません。
ドイツのRKIガイドラインでは、フロアーについては触れられていません。

この2つの事から、DCPでは、フロアーは感染対策対象外という事だとととらえています。

 

ですので、現在の状況では念のため、イメージのためにも消毒したい。

とのご方針でしたら実施されてもいいと思います。

ただし、消毒液も水分がありますし、界面活性剤を含んでいるものもあります。

ですので、〝毎日、洗剤拭きをする〟と同じ程度にフロアーのワックスは薄く分解除去されていきます。

そのため、プロがフロアーメンテナンスで作り上げたたワックス塗膜は早い段階で崩壊する事は承知しておいて頂きたいと思います。